柏でみつける科学の芽5「新たな科学の芽を育てよう!」

柏マニアNo.
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宮本
ミヤモト
千尋
チヒロ
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 こんにちは!KSELの宮本千尋です。

 

第1回でも触れたように、柏は大学や研究所が複数ある「科学の街」で、研究に関わる人々が集まる場所でもあります。そんな柏だからこそ実現できた取り組みが数多くあります。

 

実験や工作を交えながら研究者が日々の研究生活や最先端の科学をお伝えする「研究者に会いに行こう!」は、私のお気に入りのイベントのひとつです。

私は、幼い頃に出会った研究者に憧れ今の道を選びました。だからこそ、自身の研究の話をして参加者の皆さまのワクワクした表情を見ることができた時はとても感慨深かったです。

 

2021年には「科学館のラボノート」と題した教材をつくりました。第1弾のテーマは野生動物。動物の筋肉や骨、革(皮)などをじっくりと観察すると、自然の中での生きざまや進化の歴史が見えてきます。

このラボノートは、害獣として駆除された動物たちを、実際に観察・実験し、得られた知見をまとめたものです。動物を捕獲している猟師さんはじめ野生動物に関わる様々な方々から教えていただいた興味深いお話の数々も、参考にさせていただきました。そのため、市民の皆様と一緒に作った研究ノートとも捉えることができるかもしれません。

獣害はじめとする地域の社会課題解決には、それぞれの立場からできることを考え実践することが大切だと考えます。課題に潜む科学の芽をみつけ、科学の学びや研究の題材という視点から光をあてることで、興味関心の入り口をつくることが私たちにできることの1つと考えています。

 

そして今後は、柏で新たな科学の芽を育てていく活動にもより力を入れていきます。第2回で紹介した手作り科学館Exedraでは、4月から「研究部」を開設します。

月2回の活動では、様々な実験や観察を行うだけでなく、ゆくゆくは部員たちと一緒にまだ答えのない問いにも挑戦していきます。子どもも大人もワクワクと研究に取り組み、新たな発見が生まれる拠点を作っていければと思っています。いつか、巣立った部員が世界で活躍する日が来たら…!なんて妄想しています。

 

これからも、科学の街・柏で、科学の芽をみつけ育てる活動を続けていきます。

 

私のコラムは今回で最終回となります。この連載が、柏に散らばる科学の芽に出会うヒントとなっていれば幸いです。1年間ありがとうございました!

この記事を書いた人

宮本
ミヤモト
千尋
チヒロ
プロフィール

1991年生まれ。東京大学大学院

理学系研究科地球惑星科学専攻を修了、博士(理学)。幼い頃、家族で出かけたキャンプをきっかけに自然や理科が好きになる。大学院では大気中の微粒子・エアロゾル(PM2.5や黄砂など)を研究していた。

副代表を務める「柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)」では、科学コミュニケーションを通してヒトと地域を繋ぐ活動をしている。大学院生をはじめとする若手の研究者が自身の専門分野を実験や工作などを交えて紹介する『研究者に会いに行こう!』や、自然体験活動を通じて理科に親しむ小中学生向けスタディツアー『理科の修学旅行』、柏駅前の空きアパートをDIYで改修した『手作り科学館 Exedra』などを企画・運営。

柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)副代表/手作り科学館Exedra 副館長/一般社団法人サイエンスエデュケーションラボ(SEL)理事

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