子どものためのプログラミング道場 CoderDojo Kashiwa の物語10:2020年度を振り返って

柏マニアNo.
9
宮島
みやじま
衣瑛
きりえ

株式会社Innovation Power

代表取締役

一般社団法人 CoderDojo Japan

理事

CoderDojo Kashiwa Champion

プロフィール詳細

 こんにちは、CoderDojo Kashiwa 代表の宮島衣瑛です。私たちが kamon 公式ブログで連載を始めてから1年が経とうとしています。私たちの活動に携わってくれている7人が、それぞれの視点でそれぞれの良さを紹介してくれました。私自身、CoderDojo の価値はこの多様性にあるのだろうなと再確認することができ、このような機会を頂いたkamonの皆様にはとても感謝しております。

 さて、この1年間の CoderDojo Kashiwa の活動を振り返ってみると、やはり新型コロナウイルスに翻弄されてしまったという感想が一番初めに出てきます。2020年2月以降、対面形式での開催は一度もできませんでした。毎年5月に主催しているプログラミングツール Scratch のお祭り ScratchDay in Kashiwa もオンライン開催。12月に開催している作品発表会 Special Presentation Day は感染症対策を十分に講じた上で少人数開催となりました。これは、CoderDojo Kashiwa 始まって以来の出来事です。
 しかし、悲観することばかりではありませんでした。3月には “Real OnlineDojo プロジェクト”と称し、休校によって暇を持て余している子どもたちのために、平日昼間にオンラインで集まることができる場を作ってみたり、オンライン環境に最適な CoderDojo の開催方式についての知見をたくさん貯めることができたり。どうにか現状を打破しようと考えながら手を動かし、私たち自信が創造性を発揮したからこそ、たくさんの取り組みができたのではないかと考えています。


2020年12月に開催した Special Presentation Day 2020 の様子

 いわゆる With コロナ時代における CoderDojo のような学びの場が果たす役割や意義について考えてみると、見えてくるのは人と人とが集う「コミュニティ」としての価値です。私は CoderDojo について説明するとき「世代を超えて、テクノロジーという共通の趣味を持つ人が集うコミュニティ」という言葉を使います。この1年間オンラインでこのコミュニティを続けてきた結果わかったことは、オンラインであろうがオフラインであろうが、”好き”という気持ちを持って集まった人たちはどんな状況であろうとそれを楽しむ力を持っているということです。正直なところ、オフラインで開催していたころに比べて参加人数は減ってしまっていますし、新しい参加者の方に向けた宣伝もなかなかできていませんそんな中でも、プログラミングやテクノロジーに限らず、”好き”を楽しむ人たちが少しでも増えてくればこのような状況は打破されるのではないかと考えています。

 これまでの連載に登場した人たちは、それぞれの”好き”を思い思いに CoderDojo という場で楽しんでいます。高校生のときに私たちと出会い、今では一緒に事業をやっている大学生。小学生のときから CoderDojo に参加して、今では自分で CoderDojo を立ち上げたり仕事をしている子たち、CoderDojo の魅力にハマり毎週末どこかに参加しているプログラマ…こうした大人側の”好き”を楽しむ姿勢は、確実に子どもたちに伝わっています。きっとこれから先も CoderDojo に集う人たちは、”好き”を楽しみたいと思っている人たちなのだと思います。
 そして、CoderDojo は新しい ”好き”と出会う場でもあると思います。プログラミングの楽しさの根底は新しいものを創る喜びだと思うのですが、周りの子どもたちがやっていることやメンターが作っている作品を見ながら好きなことと出会ってほしいと思います。私たちはそのお手伝いをしているに過ぎません。”好き”を見つけたあとは自由に楽しんでほしい。私たちはそんな環境をこれからも提供し続けていきたいと思っています。

 柏マニアの連載が終わっても、CoderDojo Kashiwa の物語は続いていきます。ぜひ次は実際にお会いできることを楽しみにしています!1年間ありがとうございました!

この記事を書いた人

1997年5月生まれ

学習院大学文学部教育学科

株式会社Innovation Power

代表取締役

一般社団法人 CoderDojo Japan

理事

CoderDojo Kashiwa Champion

宮島
みやじま
衣瑛
きりえ
プロフィール

2013年5月から地元である千葉県柏市で小中学生向けのプログラミング道場、CoderDojo Kashiwaを主催・運営。プログラミング教育を始めとするICT教育全般について、全国各地で実践研究を行っている。教育分野のR&D(研究開発)を行っている株式会社 Innovation Power のCEO。2017年4月より柏市教育委員会とプログラミング教育に関するプロジェクトをスタート。市内すべての小学校で実施するプログラミング学習のカリキュラム作成やフォローアップを担当。2017年11月より一般社団法人CoderDojo Japan理事。大学では教育についてより専門的に学んでいる。

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