「かしわライフ」第一章後編:日本文化への適応

まちレポNo.
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シドニー

kamonスタッフ

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English version : Kashiwa Life Chapter One Part Two: Assimilation

前編では、カルチャーショックでのつらい経験についてお話ししましたが、柏での生活に慣れてくると次第に楽しいことも増えていきます。そこでまず、日本の社会的なルールについてご説明しましょう。

「ウチソト文化(uchi-soto culture)」というものについてインターネットで検索すると、その結果に戸惑いを覚えずにはいられないでしょう。「日本社会に外国人の居場所はない」とか「外国人はずっとよそ者という目で見られる」といった具合です。私自身は全くそうは思いませんが、これまでと同じように日本でも社会生活を送れるなどと思っていたら、そのように感じてしまうかもしれません。

日本では人との付き合い方において段階のようなものがあり、それぞれの段階でどこまでのコミュニケーションが許されるかという暗黙の了解のようなものが存在します。第一段階は「外部グループ」です。日本人は、外部グループの人々には敬意をもって接し、丁寧に話をしますが、相手との距離感があります。この段階では、「どちらの会社にお勤めですか?」とか「ご両親はどんな仕事をしていらっしゃるのですか?」というような質問をしてはいけません。また、不平不満や否定的な感情をあらわにしてはいけません。アメリカのような比較的オープンな風土で育った人は、このようなやり取りは冷淡に感じるかもしれません。日本社会のルールを知らない人にとっては、日本人の友達を作るのはとてつもない芸当のように感じることでしょう。それでもわかっていただきたいのは、日本人も友達を作るためにとても努力をしているということなのです。私も様々な努力と失敗を繰り返してきたので、その経験から、内部グループに入っていくためのコツをご紹介しましょう。

日本語を勉強しましょう
これは一番大事なことです。自然にコミュニケーションできないと、「知り合い」以上の関係を築くことは厳しいでしょう。日本語習得のコツについては次にお話します。

まねしましょう
日本のドラマを見ましょう。どのように会話をして友達を作るのかよく観察してください。どんな態度がマナー違反とされるのか注意深く見ましょう。そして、身の回りの人が、友達や知り合いレベルの人とどう接しているか見てみましょう。それぞれの関係性にふさわしい話し方をまねしてみてください。

旅行先でお土産を買いましょう
日本の文化ではお土産が大切です。日本人は気持ちを言葉で伝えることはほとんどなく、その代わりに、お決まりの行動パターンで気持ちを表したりします。これは恋愛関係だけでなく、どんな関係においても当てはまります。旅行に行くときは、お土産を入れるリュックサックなどを持っていくとよいでしょう。お土産は、友達、同僚や研究室のスタッフに配るためのものです。友達にはひとりひとり直接手渡しし、同僚や研究室の人たちには共用のスペースに置いたりします。食べ物はお土産の定番で、観光地周辺の大きなお店では、もらった人に喜んでもらえるような食べ物のお土産がたくさん買えます。お土産は訪れた土地にゆかりのあるものを選ぶのが一般的です。例えば、長野はリンゴが有名なので、代表的なお土産はリンゴを使ったものということになります。

地元に恩返しましょう
地元でお祭りが開催されることがあったら、ぜひ参加しましょう。また、地元で趣味のサークルなどがあれば、参加してみましょう。ボランティア活動が好きだったら、参加する機会があるか尋ねてみましょう。チェーン店のレストランに行くばかりではなく、時には地元の個人経営のお店に立ち寄って、スタッフの方と話してみませんか? 柏だったら、食べ歩きイベント「ユルベルト」に参加するとか、かしわインフォメーションセンターでボランティアをするなど、地元の人と接する機会は数限りなくありますよ!


このような取り組みができるようになれば、順調にカルチャーショックから次の段階に進めるでしょう。

適応するまで
私は少しずつ日本の習慣を身につけました。以前ほどストレートに自分の意見を言わないようにし、ほかの人が不快に感じるような話題は避けるようにしました。いつの間にか、電話をしているときに、おじぎをするようになっていました。また、胸元の広く開いたシャツを着ないようにし、スカートとストッキングの組み合わせで身なりを整えることも多くなりました。日本の会社の規則の多さも受け入れられるようになり、その枠組みの中で働くことにも慣れました。納豆だっておいしくいただけるようになったんですよ。もちろん、好きになれないものもありますが、できないことをくよくよ考えずに、それはそれとして受け入れ、余計な時間とエネルギーを使わないようにしました。ほかにも好きになったものはたくさんあります。私はこの段階を過ぎるまでにずいぶん長い時間がかかりましたし、いくつかの点では、まだこの段階にとどまっていると思います。


適応期
この段階までくると、日本での生活が快適になり、習慣の違いに直面しても比較的簡単に対処できるようになります。異なるモラルや習慣も自分の日々の生活の一部となり、日本での自分の居場所も見つかります。友達もでき、日本での生活も悪くないと思えるようになるでしょう。
日本で身につけた習慣は私の一部になっています。例えば、家の中で靴を脱ぐことはとても合理的なので、もう靴を脱がない生活は考えられません。マスクもいいですね。花粉症の人は花粉を防ぐことができますし、風邪をひいたときは、他の人にうつさないですみます。スーパー銭湯がストレス発散にはうってつけだと知ってからは、気持ちに余裕がなくなったときは必ず行くようになりました。私は様々な場面で、自分が今「内部グループ」にいるのだと心から思えるようになりました。

柏に引っ越ししてから、私はほとんど毎日、自然体で暮らしているという実感があります。それは外国人としてではなく、普通の住民として。日本の文化に慣れたいと考えているなら、柏はオススメですよ。というのは、柏は人と人との絆が強く、しかも、だれにでも開かれたコミュニティだからです。もし柏での新生活をご検討していらっしゃるなら、ぜひ当インフォメーションセンターにご相談ください!

この記事を書いた人

アメリカ

kamonスタッフ

シドニー
プロフィール

アメリカ出身だけど名前はシドニーです。2014年から日本に住んでいます。4年半ぐらい東京に居て、2019年に柏に引っ越してきました。私の故郷は田舎で、だから柏の自然が大好き。だけどレストランやモールもあるので嬉しいです。本当に柏というまちのファンです!

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