本のマップができるまで5:第5話 本のマップかしわ座談会 ~新たな「本の時代」へ~

柏マニアNo.
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本のマップ柏
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大根を干したのを戻して、刻んだ柚子の皮を巻いてロール状にしてその上から甘酢をかけて酢漬けにするという、

あやさんのお母様の創作オセチ料理の話から、のんびりとオンラインで座談会がスタート。

活動の振り返り ~コラム/インスタグラム/活動を可視化する地図~

英明)あやさんとさやかさんで、交互に2回ずつコラムを書いた感想はいかがですか?

あや)楽しかったです。締め切りがなかなか守れずに恐縮でした。

さやか)文章にまとめて発信するのは大変でしたが楽しい作業でした。

英明)もともと、柏市の本のマップみたいなものをつくれたらいいな~、という漠然とした思いを、LINEなどで書いたら手を上げてくださった方々で4人のチームが出来て、年齢や性別の構成も何故かバランスが良くて、kamonかしわインフォメーションセンターさんに、企画としてご相談してみたんですね。それはぼくらの見込みが少し甘くて実現しなかったのですが、代わりに4人でコラムを書くお話を頂いて、全5回のうち、2回ずつ4回はあやさんとさやかさんにコラムを書いて頂き、最後に4人で座談会をする、ということで今回最終回となりました。

さやか)コラムのお話を頂いて、活動に弾みがついた、というか、締め切りがあるから書けるというのもあると思いますし、定期的に書いたものをいろんな方に読んで頂く良い機会でした。途中からインスタグラムも本のマップチームとして始めたんですけれど、ちょっとずつフォロワーさんも増えてきて嬉しいですし、やっぱり良いテーマなのかなぁ、と思います。  

最近、ラコルタ柏(註1)にたまたま行った時に、うちでも本棚できたんですよ~、とお声掛け頂けたので、今度どんな風に出来たのかお話を聞いてインスタにも上げられたらいいかな、と思っています。ラコルタはいろいろなイベントもやっていて良い場所です。カフェのメロンパンも美味しいです~。

あや)わたしは参加した動機のひとつとして、コロナ禍があったなと思っていて。もともと小さな書店は苦しくなっているという話でしたけれど、コロナ禍になって、一層通販で本を買う人が増えているとも言われていて、自分も地域の本屋さんを知りたいし、応援も出来たら、と思ったんですね。紙のマップの話は一旦止まったんですけれど、インスタグラムで発信が始まったのは良かったかな、と思っています。

洋輔)わたしは去年、一昨年と活動を振り返ってみると、本のマップというのを「たとえ」のようにしてとらえたら、もっと広く活動できるのかな、と思っています。その意味で、我々の活動をマップに位置づけて発信していく作業、と思えば広がりがあるだろうし。

 今から思えば、kamonかしわインフォメーションセンターがコラムを書くことを提案してくださったのも、もともとkamonかしわインフォメーションセンターにも本の構想があったわけです。  

わたしもkamonかしわインフォメーションセンター代表の藤田さんに柏まちなか図書館の話を語っており、市内各所にまちなか図書館みたいなものを広げていきたいと意気投合していました。この一年の間にもセンターでは、「柏まちなか図書館(註2)」みたいなことを、いろいろやろうとされていましたね。

わたしたちの構想とも通じる部分がたくさんあって、いろいろ本にかかわる企画をされている中で、わたしたちにコラム執筆の依頼を頂いたのかなと、振り返っています。

地図ということを広くとらえて、いろんなことをやっていけばいいのかな、と最近は思っています。

ブックススズキさんを取材中

本のマップは“星座”?

英明)紙の地図というのもひとつの形ではあるけれど、いま仰ったように、あまりそこに拘らずに、マップというのを広くとらえれば、いろんなものを含み込む活動になりそうですね。  

ちなみに、今日の午前中は「本と花の広場(註3)」を我孫子でも出来ないか、ということで我孫子の方々とオンラインでミーティングしていたんですが、あびこ市民活動ステーションでも「あびじょプラスマイナス絵本(註4)」という絵本の交換プロジェクトがあるそうです。kamonかしわインフォメーションセンターの「つながるライブラリー(註5)」を参考にされたともお聞きしましたがいろんな場所で本にかかわる企画が同時発生しているような気もします。

その意味で言うと、我々が本のマップといっている企画も、みなさんと連携しながら、我々が出来る役割、みたいなことをちょっとずつでも果たしていくと、ぼくらが、というより地域全体として、面白くなりそうな気がします……かね? それとももっと明確なゴールがあった方がいいんでしょうか。

洋輔)今までは、お店だったじゃないですか、地図に落とすのが。それをイベントだったり、本が好きな人であったり、地図だけでは落とせないけれど、例えばインスタとかに上げて、地図みたいにすればいいのかなぁ、と思ったり。

さやか)本好きの方を紹介するのは面白いかも知れないですね。

英明)今聞いていて思ったんですけれど、イメージとしては星座みたいなもの? 星座って地球から見上げると、さそり座とかこぐま座とかに見えるわけですけれど、星座を構成する星は平面に位置しているわけではなくて、実際には前後に離れている、この星は地球に近くて手前にあるけれど、その隣りに見える星は実際には何億光年も離れていて遠いんだけれど、地球から見るとある意味平面的な星座に見えるわけですよね。  

そういうのって、ある種マップに近いけれど、三次元立体のマップみたいな、本や、人や、書店、ほかいろんな活動が、ある意味星として、天空に輝いているのをマップとして、というか星座として、たくさんの人に紹介するというか、見えるようにする活動が出来たら、本のマップの活動もバージョンアップ、みたいな感じですよね。

洋輔)使えそうですね、そのフレーズ。

英明)(笑)使えそうな発言しちゃったかな、思いつきですが。

本のマップかしわのインスタグラム

これからは本の時代!

英明)その流れで言えば、イベントを取材しに行くものいいかもしれないですね。例えば先ほどの我孫子のイベントが開催されたらそれを取材に行ったりするのも。

さやか)いろんなところで本に触れ合える場所が増えていくことで、発展して行きそうな気がします。

洋輔)これからは本の時代だっていうのは確かです。

英明)ふーん、なかなかそういうことを言う人っていないと思いますよ、今どき。(笑)

洋輔)いやいや、これからは本の時代ですよ。

あや)うん、それをつくっていくってことですね、我々が。

英明)我々が⏤⏤。大きく出ましたね。

さやか)かっこいい。

英明)それはどういう意味で、本の時代ですかね?

洋輔)今までは、百貨店などが人を集めてきたところがありましたが、これからは本や本を通した交流が人を集める流れがあるな、と。この10年くらいかけて、本が、まちづくりの傍流的存在から、なくてはならない要素になってきています。これは、柏だけでなく、全国的な流れです。  

そういう意味で、これからは本の時代だと言えるわけです。かといって本の中身を、本当に読んでいるかというと、そうでもないし、でもそれは昔からそうだったのかもしれないわけで。

英明)百科事典や文学全集とか、ずらっと並んでいても読んだ形跡がない、とか。(笑)

洋輔)まぁ、今も一方で本をバラして電子化したりして、すごく読んでいる人もいるし、実際本はたくさん売れているのかも知れないですよね、毎日いろいろ出版されているし。  研究者は、大分変わってきたのを感じます。研究者も紙の本は好きなんでしょうけれど、電子書籍では検索機能や持ち運びなどの利便性もあります。

ただ、その一方で、わたしたちが、紙のマップを作ろうというところから始めたのは、デジタル化社会の中で意義あることだと思っています。SNSでは、近い人にはすごく広まるけれど、そうではない人には広まらない。インスタで、便利な本のマップは出来ると思いますが、本好きで、わかっている人に見てもらう、ということになるんですよね。

あや)なりがちですよね。

本と花の広場@柏2021

本をタッチポイントに

洋輔)出版された本を読んでいいなぁと思うのは、編集者など目利きにセレクトされ、一定の方針に基づいたチェックが入っていて、安心感があります。本という紙の冊子が減っていったとしても、本の中身や本を愛する文化は失ないたくないですね。フェイクニュースが横行する中、メディアリテラシーも大切ですよね。

英明)そうですね。新聞とかもそうですが、本来そういったメディアリテラシーがきちんと担保されるはずのものが、購読者の減少などで揺らいで来ていないか、心配な面もあります。

さやかkamonかしわインフォメーションセンターさんを取材させて頂いたときの、「本をタッチポイントにして人と人のつながりができる場所」ってワードがすごく素敵だな、と思って、気にかけてみるとそういう場所ってあるなぁ、と思って。

それに気づけることがこういう活動をしていて良かったです。いろいろな活動をされていても、どこかでつながりがあると思うので、こういう活動をしていますよ、って広めていくことで、本のことだけで狭まっちゃうのはもったいないので、そうしないで、これもいいねって気づける人が増えたらいいなって、その辺を攻めて行きたいなと(笑)、思いました。

ゆるゆると続いた座談会の間も、さやかさんや洋輔さんのお子さんたちが出入りし、あやさんが(座談会はさておいて?)手元で取り組んでいた母上直伝のオセチ料理の準備もいいところまで進んだようです。洋輔さん言うところの「本の時代」の到来に思いを馳せながら、この座談会もおしまいです。

1年間のご愛読、どうも有り難うございました。

註1)ラコルタ柏 2021年4月1日にリニューアルオープンした柏市の教育福祉会館の愛称。

   https://www.raccolta-ksw.jp

註2)柏まちなか図書館(市民活動団体)   

   以下のような特徴を持つ図書館を広める活動。

   ・特定の図書館や蔵書を所有しない。

   ・まち全体を図書館と見立てる。

   ・まちにある本が蔵書。

   ・まちの人が、図書館の運営者であり、司書であり、利用者。

   ・貸し出すのは本だけではない。 ・情報・知恵・交流のハブとなる場。

   ・「地域通貨」を活用し、知恵、経験、力、モノなどの地域資源をリスト化し、それら地域資源のマルシェ・市などを開催。

   ・本が秩序だってなくカオスであることで、思いもよらぬ出会いがある。

   ・プライバシーをさらけ出すことで、その本を手にしてきた人々の思いを、次の借り手につないでいく。

    ・不便だからこそ、コミュニケーションが生まれる。

註3)本と花の広場 柏まちなか図書館の活動の中から生まれた「日ごろの感謝を本や花を贈りあうことで表す“本と花の日”を広める目的が2021年4月に初めて開催したイベン ト。   https://twitter.com/hon_to_hananohi

註4)あびじょプラスマイナス絵本    

   本を交換することで参加できる、まちづくりプロジェクト。

   https://abikosks.org/archives/7666

註5)つながるライブラリー(かしわインフォメーションセンター内)

   https://www.kamon.center/topics/kamon-tsunagaru-library

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本のマップ柏
プロフィール

「柏で、本に出会える場所を書いた地図を作らない?」

その一言で、2020年の春、私たち「本のマップ柏」は誕生しました。

年代も仕事もばらばらな4人が、それぞれの視点や好みを重ね合わせて作る「本のマップ」。

“本”という切り口を通じて、柏の街を立体的に描くことができるはず!…でした。

でもふたを開けてみると、マップ作りは大変なことがいっぱい…。

悩み、考えあぐね、意見を言い合い、また悩み…マップはなかなか完成しません。

それでも、柏やその近郊に住んでいる人たちに、本との出会いを届けたい!という私たちの思いは変わらず、今日もアイディアを妄想中。

コラム終了時のマップの完成を目指して、日々模索は続きます。

参考サイト

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